あ
さっきまでは…
このあとどうしようってことで頭がいっぱいだったけど…
考えることがなくなった頭は、自然に亮ちゃんのことを考える。
友達からも、亮ちゃんの親からも公認で…
ただ漠然とこの人と結婚するって思ってた。
朝起きたらそこにいて、夜は腕枕で眠る。
そんな日常も、今日からは過去の夢物語なんだよね。
失恋して…涙を流すのは亮ちゃんが初めて。
しばらく歩くと
愛梨の家が見えてきた。
もう泣かない。
泣かない…ってのは無理かもしれないけど…
もう振り向かない。
前に進みたい。
私はそんなに弱くない。
居場所なら、
また自分で見つければいいじゃない。
今日はひとまず、久しぶりに会う愛梨とガールズトークして…
明日は仕事で先輩に励まされて…
ほら。
なんだかんだ言って
一人じゃない。
愛梨の家に着くと
昔の癖で、ベルも鳴らさずにドアを開いた。
懐かしい匂いが広がり、愛梨のお母さんに出迎えられた。