恋する一歩手前
私は笑いながら
「うん、よろしくね、黒沢君と正城君。」
と言うと
黒沢君がズイッと近付いてきて
「『黒沢君』なんて気持ち悪りぃよ!
織でいいって!
コイツの事も由良で良いし、な?」
と正城君に同意を求め正城君は
「あぁ、別にいいけど‥」と呟く。
初めて聞く正城君の声に心臓がトクリッと
音を立てた気がするけど平然を装い
「わかった。織に由良ね。」
と返事をすれば、
織がウンウンと満足そうに頷き
由良がフワッと笑った‥気がした。
「綾乃ってさ、笑ってた方が良いぜ?」
と言われ吃驚した。
「わかるわかる!」
なんて悠莉も同意する。
「なんつーかなー、笑ってない時は綺麗!
って感じだけど、笑ったら可愛いよな!」
とまたもやニカッと笑う。
そんなこと男の子なんかに
言われたことない。
ましてや、悠莉に言われたのが初めてだ。
思わず赤面してしまった。
うぅ、不覚‥。