恋する一歩手前



「ふっふふ、ふくくく、あははは」


どうしよう、笑いが止まらないわ。


私は口を大きく開けて笑う。


「もう、綾乃っ!笑うなんて酷い!」


どうしたものか、悠莉が顔を
赤くさせたまま怒ってしまったわ。


「っく、ごめん、ごめん

あまりにも悠莉が乙女チックでっ」


ぷっ、ふふ


「とても可愛いわ、ほんとに

あたしと真逆だなぁー、って思ってさ」


「も、もー、綾乃ったらー

そんなことないもん!
綾乃の方が綺麗で可愛いじゃない!」


『もし、綾乃が織の事を
好きになったら勝目なんて…』と
急に涙目になってしまった悠莉。


仕舞いには、ポロリと
綺麗な涙という名の真珠が
悠莉の仄かに赤を指している
頬を伝い落ちている。


当然の事ながら慌てる私。


「ゆ、悠莉!?

私が織を好きになるわけないじゃない、
勿論、逆も有り得ないわよ!?

だ、だから泣かないで?
私、人に泣かれたら
どうすればいいかなんてわからないのよ

と、兎に角も泣き止んで頂戴?」






< 24 / 25 >

この作品をシェア

pagetop