恋する一歩手前
「ふっふふ、ふくくく、あははは」
どうしよう、笑いが止まらないわ。
私は口を大きく開けて笑う。
「もう、綾乃っ!笑うなんて酷い!」
どうしたものか、悠莉が顔を
赤くさせたまま怒ってしまったわ。
「っく、ごめん、ごめん
あまりにも悠莉が乙女チックでっ」
ぷっ、ふふ
「とても可愛いわ、ほんとに
あたしと真逆だなぁー、って思ってさ」
「も、もー、綾乃ったらー
そんなことないもん!
綾乃の方が綺麗で可愛いじゃない!」
『もし、綾乃が織の事を
好きになったら勝目なんて…』と
急に涙目になってしまった悠莉。
仕舞いには、ポロリと
綺麗な涙という名の真珠が
悠莉の仄かに赤を指している
頬を伝い落ちている。
当然の事ながら慌てる私。
「ゆ、悠莉!?
私が織を好きになるわけないじゃない、
勿論、逆も有り得ないわよ!?
だ、だから泣かないで?
私、人に泣かれたら
どうすればいいかなんてわからないのよ
と、兎に角も泣き止んで頂戴?」