恋する一歩手前
グルリと室内を見渡して
その次に窓の外に視線をやる。
窓辺からみえる風景には
朱と薄い緑の山々がみえる。
『随分、田舎の方に来てしまった。』
などと再確認させられる。
ボーッと無意味に外の風景を眺めていると
私の事をジーッとしつこいほどに
見ている人物に気が付いた。
最初は無視をしていたのだけれど
なかなか視線を外さないので、渋々
その視線に応えるように相手を見据えた。
その相手は髪の色が印象的に残った。
そう、この高校では珍しい黒色の髪が。
私ですら、赤みがかった茶色なのに
私の目の前でニコニコと
笑顔を浮かべている少女は、黒色だった。
肌が白いから黒色がよく映えている。
ピンク色の唇は小さくプクリとしていて
瞳は二重のパッチリとした蒼い目。
とても可愛らしい、女の子が居た。
一言で言い表すと、“ お人形さん ”