ただ、キミの隣にいたくて…
「東雲って、ゆりって言うんだ。へえ。」
「あんた、なんで知らないのよ!ゆりに気あるんでしょー?それくらい知っときなさい。」
「なっ…」と短い言葉を発すると同時に顔を真っ赤にする佐倉。
「あ、図星ー?やあだ佐倉ったら。」
「確かに…東雲のこと好きだけど…でも、俺東雲には…ってゆうか、ほかの女もそうだけど…告白もそうだし、付き合ったりもしないから。」
予想外の言葉にびっくりしすぎてしばらく言葉がでなかった。
「もしかして、佐倉…童貞?」
「う、うるせーなっ。童貞どころかキスもまだだよ。」
少し悔しそうに表情をゆがめた。
「なんで?あんた顔だけはかっこいいのに。」
「お前なあ…。俺だって告白ならいくらかはされたことあるけど…付き合ったりできないよ。自信ないし。」
佐倉って、案外まじめ?
「へえ。あんたもゆりも、似てるね。」
「へ?」
「ゆりも今まで付き合ったこともないし、キスも、それ以上もないし。あの子、幼いころのボーイフレンドと約束したんだって。」
「へえ?なんて?」
「絶対迎えにいくって。逆だよね、普通に考えて。だってゆり女の子なのに…。まあ、その男の子が病気で目が見えなかったから、ゆりが迎えにいくっていったみたいで。」