ただ、キミの隣にいたくて…
「あんた、ゆりにいっちゃだめだかんね。念には念を、と思い電話させていただきました。では!」
――――プーップーッ
「なんなんだあいつは、しつこいなあ。」
そうは言いつつも、きわどい質問だったからちょうどよかったのかもしれない。
「あ、ごめん。友達からだった。」
「ねえ…佐倉君。下の名前…教えて?」
「え…。」
そう、東雲の手には、俺のキーケース。あの日ゆりにもらったキーホルダーが顔を出している…。
「佐倉君…佐倉君は、隼人くんなの?」
「……っ。」
ゆりの顔がちょっとなきそうだ。
「ねえ、教えてよ、下の名前。」
「俺は……佐倉…隼人……。」
なあ、長谷川。
お前のかけてきた電話のせいで台無しになってるんだけど…。