ただ、キミの隣にいたくて…




「あんた、ゆりにいっちゃだめだかんね。念には念を、と思い電話させていただきました。では!」




――――プーップーッ



「なんなんだあいつは、しつこいなあ。」



そうは言いつつも、きわどい質問だったからちょうどよかったのかもしれない。



「あ、ごめん。友達からだった。」



「ねえ…佐倉君。下の名前…教えて?」



「え…。」



そう、東雲の手には、俺のキーケース。あの日ゆりにもらったキーホルダーが顔を出している…。



「佐倉君…佐倉君は、隼人くんなの?」



「……っ。」



ゆりの顔がちょっとなきそうだ。



「ねえ、教えてよ、下の名前。」



「俺は……佐倉…隼人……。」





なあ、長谷川。


お前のかけてきた電話のせいで台無しになってるんだけど…。










< 23 / 28 >

この作品をシェア

pagetop