甘く、優しく、ときには苦く
互いの思い
~樹side~


「ご注文は?」


「あ、アイスカフェオレと、Aサンド
お持ち帰りでお願いします。」



俺は、いつもと同じものを
また注文してしまった。

「かしこまりました。520円になります。」

白衣のポケットに無造作に入っている小銭から
ちょうどをとりだす。


「520円ちょうど、頂戴いたします。

それにしても
藤岡先生は、いつも同じものなんですね。
そんなにカフェオレ好きなんですか?」

笑顔を向ける彼女。


・・・・・!!!



びっくりした。


俺みたいに影の薄い新人医のことなんて
彼女は絶対知らないと思っていたから。


名前どころか、
俺がいつもこのメニューを注文することまで

知っていたなんて。




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