甘く、優しく、ときには苦く
わたしは、だれにも気づかれないように
すでに出来上がって手元に運ばれていたカフェオレのふたをあけ
ミルクを流しいれた。
ふたを閉めた瞬間運ばれてきたAサンドを
ミルクを付け足したカフェオレと一緒に彼にさしだす。
「はい、アイスカフェオレとAサンドです。」
いつもどおり笑顔をむけると
彼は、やっぱり緊張したように頭をさげ
足早に店をでていった。
あんまり、無理しないでね。
甘いもので、少しでも疲れがとれたらいいんだけど。
彼女でもないのに、そんなことを思う自分は
きっと図々しいよね。
無意識にさげた瞼。
まつ毛がかすかに視界に入り
「いけない、いけない。仕事中!!」
小声で自分に喝を入れ
笑顔を作りなおした。