甘く、優しく、ときには苦く
「君は、彼女のことがうらやましいの?」
突然顔をあげて
俺のことを睨みつける。
泣きそうな顔になって。
「そんなんじゃないわよ!!
こんな奴をうらやまむわけないじゃない。」
あまりにも鋭い目つきでひるむ。
「あ、ごめん・・・。」
「嫌いなの。陽菜なんて、大嫌い。」
さっきとは、ちがう。
自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
「だからね、
陽菜の悲しんだ顔、つらそうな顔を見ると気分がいいの。
さっきの陽菜の顔は、傑作だった。」
口元では、嘲笑っていても
瞳はつらそうで
この言葉が本心じゃないことを物語っていた。