甘く、優しく、ときには苦く


彼はいつものように

アイスカフェオレとAサンドを注文した。


「かしこまりました。520円になります。」


白衣のポケットから、無言で
500円玉と10円玉2枚をとりだす。



「520円ちょうど、お受け取りします。」

やっぱりずっと俯き気味で
こっちが店側なのになぜか礼をする。




わたしは、ずっと彼に話しかけたかった。

彼の声をまともに聞いてみたかった。


Aサンドは、今の時間帯、人気で少し時間がかかる。



話しかけるなら、今だ。


「それにしても
藤岡先生は、いつも同じものなんですね。
そんなにカフェオレ好きなんですか?」


明るく、元気がいいと評判の持ち前の笑顔をむける。


彼は、びっくりしたように顔をあげた。




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