100回目の告白
紙は見渡す限り、バツバツバツ…
「……これは?」
あたしは紙を眺めながら言う。
「……これは、隠しカメラの場所」
「………隠し…カメラ…?」
「うん。奥様と旦那様は俺とお前の仲を疑ってるんだ」
「………別にいいじゃない…」
「ダメだ。バレるわけにはいかない。絶対に」
俊輔はトン、と指を指しながら言う。
「この通り、お屋敷では完璧執事になりきるしかない。ごめんな…それから…召し使いも運転手もお屋敷にいるやつ、みんな敵だから」
「…敵……?」
「うん。みんな。学校にいるときもスパイがいるかもしれないから、恋人みたいにはできない」
俊輔が何を言っているのか、さっぱりわからない。
敵?スパイ?
何を言っているの?
「…俊輔…意味わかんないよ」
「……凛…」
「…敵…とか。スパイ…とか」
「……凛!お前は、いいんだ。わからなくて、いいんだ」
俊輔はゆっくりあたしに手を伸ばす。
あたしの手を握って引き寄せると、静かにキスをした。
「……凛…お前の父さんと母さんは…やると言ったらやる人だ。お前は…無意識にあのふたりを受け入れたがっていない」
あたしは黙っている。