100回目の告白



「……もう…いいんだよ…俺は…お前が幸せならそれでいいんだ…」
「……俊輔…っ」
「求めたところでお前は俺のものになるのか?…違うだろ。求めたってどうにもならない。だったら、お前が苦しくないように俺はお前を愛すから」


あたしのことは気にしなくていい。
そう言おうとしたあたしを制するように、俊輔はスッとあたしに手を伸ばし、俊輔はあたしを引き寄せた。


そして優しく、優しく、あたしの唇にキスをした。



「……………」
「……………」



触れたかどうかわからないキスをしたあと、俊輔は行こう、と言った。



校門を出ると、華恋家の車があった。
歩きながら俊輔は言う。



「…お前が…凛が傍にいるなら、俺はそれでいいんだよ」




瞬間、風が吹き、砂が舞う。


みにくい視界の中、笑うあなたは、誰より何より…大人で。


全てを悟ったような…諦めたような、そんな顔をしていた。






< 125 / 196 >

この作品をシェア

pagetop