100回目の告白
さらに強く風がふく。
次の瞬間、俊輔はいつもの表情に戻っていた。
「……帰りましょうか。お嬢様」
「……ええ…」
あたしはベンツに乗り込んだ。
俊輔も乗り、ドアを閉める。
「…お嬢様、俊輔様」
突然、運転手があたしたちを呼んだ。
「……おふたりは…」
「……………?」
「……おふたりは美しい」
「……………え……」
「……華恋家にいる者、みな、そう思っているはずです」
「……なにを…言ってらっしゃるんですか」
あたしは笑い、髪を触りながら言った。
「……私たちにも…守らなければならぬものがあります。…俊輔様…」
「…………はい」
「俊輔様は、ご存知ですね?」
「……はい…重々承知を…しております」
俊輔はつらそうに、下を向いて言った。
「ちょ…ちょっと。ふたりとも何を言っているのかしら?室井?」
「…………………」
聞いても俊輔は答えない。
すると、運転手は言った。