100回目の告白
「1時からは着付けで、2時からはテーブルマナー。夜は奥様と旦那様の会社のパーティーに出席し…」
「今日やるわ」
目まぐるしい明日の予定。
だけど。
明日だけはゆずれない。
「……? と、おっしゃりますと?」
「明日の予定、今日全部やるわ」
「………! 無茶です、お嬢様…!こんなタイトなスケジュール、今日でこなすなんてことは…!」
「じゃあ、明日空けてくれるの?」
俊輔の答えはわかっている。
答えはNOだ。
「……………」
「空けてくれないでしょう?だって、そんなことしたら室井が怒られてしまうものね」
長い長い廊下を歩きながら、あたしは言う。
俊輔は黙ってあたしのあとを着いてくる。
「……これでもあたしは華恋家の跡取り。一般人より、あたしの方が、遥かに優れてる」
「………………」
部屋につき、ベッドにダイブする。
俊輔は静かにドアを閉めた。
「一日かけなくても、今日中にマスターするわ。だから、明日練習する必要はありません」
あたしは言うが、俊輔は心配そうにしている。
それもそうだ。
こんなタイトなスケジュール、初めてだから。
「ですが…」
「黙りなさい」
あたしは俊輔の言葉を遮った。
「あなたは執事。執事は執事らしく、ご主人様の言うことだけ聞いていればいいわ。わたくしがいいと言ったらいいのです」
あたしの言葉に、俊輔はハッキリと傷付いた顔をした。