100回目の告白
鏡で全身をチェックすると、ハンドバッグを持ち、携帯で車を呼んだ。
「…室井」
「はい?」
部屋を出てもまだついてくる俊輔。
「今日は、ついてこなくていいの」
「………何をおっしゃるんです?」
「ごめんなさい、私情なの」
「………お嬢様…!」
俊輔はあたしの前に立ち、立ち止まらせた。
「言っていたではないですか…!わたしの傍にいれと…!」
「……今日はいいわ」
「……お嬢様!」
俊輔は少し大きな声で言う。
あたしは召し使いを呼ぶと、俊輔を拘束させた。
「お嬢様!」
「叫ぶなんてはしたないですよ、室井。悪いけどわたくしが出るまで、室井を拘束しててちょうだい」
あたしは言うと、玄関ホールまで歩いた。
拘束された俊輔と拘束している召し使いは玄関まで来て、あたしを見送る。
「いってらっしゃいませ」
「お嬢様…っ、離せ!お嬢様には最低一人がつかなくてはならないんだぞ!」
俊輔は両腕を拘束する召し使いに向かって叫んだ。
「…室井。あたしは今からお母様たちにあいにいくのよ」
「……な…に…いっ…」
「お母様の会社に行くの。だから付き添いはいらない。母のSPがきてくれるわ」
俊輔は信じられないといった顔であたしを見つめた。