100回目の告白


確かに。
確かに俊輔の言う通りだ。
あたしは、玲がどこで生まれ、どこで育ち、なにを見て、なにを感じて生きてきたのかなど知るよしもない。


しょうがないといわれれば、それまでなのだけれど。



「……何も言えないでしょう? そんなので玲を語らないでください」


俊輔は笑う。
とても冷ややかな目で、笑う。


「……でも…」
「でもなんです?」


あたしは俊輔を見上げ、言った。


「…あたし…知ってるわ……」


涙を流す玲も、甘いものを美味しそうに食べる玲も…

ふわっと優しく笑う玲も、楽しそうにクスクス笑う玲も…
知ってる。


あたしにしか見せない顔も。
あたしにしか見えないクセも。


「……俊輔は…確かにあたしより玲を知ってるのかもしれないけど……」
「…………………」


ねえ、玲。
どこ言ったの?


「……あたしは…あたしにしか見せない玲を知ってる…それじゃあ…俊輔とあたし同じぐらいにならないかしら?」
「………ずいぶんですね……」


俊輔はあたしを睨んだ。



そして部屋を出ていくとき、耳元で言った。




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