100回目の告白
マキは状況がわからないようで、どぎまぎしながらあたしに聞いた。
「な…なんなのこれ?!どうしてタクシー会社にきたの?」
あたしたちはタクシーをおり、会社の中へ入る。
マキには歩きながら説明した。
「…マキは気付かなかった?」
「え?なにが…」
「あたしたち、打ち合わせの段階からずっとつけられてたこと」
「え…?!」
あたしは声を潜めながら言った。
「やっぱり気付いてなかったんだ…華恋家にはね、お嬢様の外出時、かならず召し使いが一人はつかなくてはいけないの。いままではあたしがいらないと言えばついてこなかったんだけど…アイツらが疑い始めたようだわ」
「アイツら…?」
マキがきくと、凜は言いづらそうに目線を落とした。
「…なんて言っていいのかわからないけど…戸籍上の父と母。尾行するように命令してるハズだよ。でもこのままじゃ何を調べてるかバレるでしょ?」
凜の言う通りだった。
「だからタクシー会社にきたの。例の場所にいくタクシーにはあらかじめダミーがしてある。ナンバープレートを交換しておいたの。ナンバープレートを記憶しておけば、たとえ見失っても追跡が再開できる。それを裏目にとってタクシー同士のナンバープレートを交換しておけば、召し使いたちは本来のタクシーを追うことになる。そうすればあたしたちとは全く違うタクシーを追うことになるわけ」
凜は一通り説明しおえると、一息をついた。