100回目の告白
「ね、これで安心でしょ?」
凛は得意気に笑ってみせたが、マキは不安を隠せないように、声をひそめて言った。
「…ま、まってよ…凛…っ……でもさ…華恋グループは世界のトップだよ?…華恋グループを敵にまわしたら、どんな仕打ちをうけるか分からないわ。そんなになるのにこのタクシー会社は信用できるの?…わたしは…できないわ…」
マキは一気に言った。
「そこらへんの対策も考えてあるわ」
凛はとても真剣になっていった。
「…たとえ裏切られても…こっちには切り札がある…」
あたしはバッグからA4封筒をとりだし、マキに渡した。
「マキ…いい?もし、裏切りそうな素振りを見せたなら、これを取り出して"あなたたちの秘密を知っています"って言うのよ」
「……? わかったわ」
マキが不思議そうに封筒を見る。
そしてバッグにしまおうとした。
「だめ…!マキ…!」
あたしはしまおうとするマキの腕を止めた。
「これだけは手で持ってて。あたしもそうする」
あたしはバッグから同じものを取り出して大事に抱えた。
「……うん…」
マキはバッグにしまうのをやめ、両手でしっかりと抱えた。