100回目の告白
~第四章~





「……ふふ」
「どうしたの、おばあちゃん?」



孫はネタ張に書き込むのをやめ、カップを傾けながらわたしに聞いた。


「……ほんとうに…あのころは全てに一生懸命だったのよね。マキも玲も俊輔も傷つけてばかりだったわ…」


わたしは目を伏せて、笑った。


「おじいちゃんも?」
「ええ。あの人には、結婚してからも迷惑かけてばっかりよ」
「えぇ~。でもおじいちゃんは、おばあちゃんにぞっこんじゃん」


孫は意外のように声を張り上げた。


「………まさか。わたしが、あの人にぞっこんなのよ」


わたしは微笑んだ。



「…そうかなぁ…おじいちゃんのがぞっこんだとおもうけどなぁ…それよりおばあちゃん、お腹すいた!」


孫は無邪気に笑いながらわたしに言う。


「…まあ…何が食べたいの?」
「オムライス!おばあちゃんのふわとろオムライスが食べたいの!」


孫はネタ張をカバンにしまいこむと、わたしを抱きしめながら言った。

「何回作っても、おばあちゃんみたいにならないのよ。ふわふわっとして、とろとろな美味しいオムライスに」


そこまで言われたら作らないわけにはいかない。
内心わたしは嬉しいのだけれどね。
娘の時雨には甘やかさないで、と言われているのだけれど…




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