100回目の告白



―ガチャ。


…ただいまって言わなくなったのはいつからだっけ?


無駄に広い家。


「……あら?凛様。おかえりなさいませ」


あたしに気付いた家政婦が声をかける。


「…………はは」


あたしは思わず笑う。

こんな、他人があたしに声をかける。

他人が。



「お部屋になにかお持ちしましょうか?」

あたしに気付いた家政婦が気を使って言う。


「……は、じゃあコーヒーお願い。昼から学校に行くから車もお願いね」

あたしは微笑みながら言った。

「かしこまりました」


家政婦は軽くおじきをして去っていった。


あたしは三階へ向かう。
三階はあたしのプライベートルーム。
たとえ親だろうが、家政婦だろうがあたし以外の入室は固く禁じられている。
はいったらただではすまない。


だから食事や日常品は二階のあたしの部屋に運ばせる。




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