100回目の告白




それからどれくらいたったのか、あたしは眠ってしまっていたようで、ふと夜中に目が覚めた。


「…ん…?」


チカチカと携帯が光っていた。
ランプの色は不在着信だ。
携帯をひらくと公衆電話から二件、着信があった。


「………公衆電話…?」


つぶやいたとたん、また携帯が震えだす。


「……………」


あたしは少しにらんで、通話ボタンを押した。


「………はい」
『……………』


出てみたけど、向こうは何も話す気配はない。
しびれをきかして、強気で言った。


「…………誰?」
『………………』



そう言っても何も言わない。
でも、切らないとこをみると何か言いたいことがあるのだろう。


ふと、頭をよぎった人物。


「……玲?」


思ったことをそのまま口にした。
それでも相手は黙ったままだった。


「……玲でしょ……?」


携帯に向かってあたしは一生懸命呼びかける。


『………凛』
「……玲…っ…!」


おも苦しい空気になったところで玲は口を開いた。
だけどその声は暗い。


「……どうしたの?」
『…………………』


あたしが聞くと、まただんまり。
…何か、だんだん腹立ってきたな。


「言わないの?なら切るね」
『え…ちょっとまっ…』

ピッ

あたしは一方的に切った。
すると思った通りにまたかかってきた。


『凛!なんで切んの!』
「用件言わなかったから」




あたしはクスクスと笑って言った。





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