100回目の告白



「………凛、どうしたんだよ?」
「……あたし、俊輔がいいよ…」
「……………え?」


これ以上言ったら、俊輔に甘えることになってしまう。
だからあたしは下くちびるをぎゅっと噛んで、ベッドのシーツを握った。


「…………」


そんなあたしを黙って見下ろす俊輔。

「…………凛…」


俊輔が呼んでも、あたしは顔をあげることが出来なかった。

執事服のまま、俊輔はベッドに腰をおろした。


そしてパジャマ姿のままのあたしをぎゅっと抱きしめた。


「…しゅんす…」
「黙れ」


あたしのくちをふさぐように、さらに俊輔はあたしを抱きしめる手を強めた。


「………俊輔…」


あたしも俊輔の背中に手をまわす。
広くて、玲とは違う、男の人って感じがした。


「…俺は、俺だ」
「…うん」
「玲とは違う」
「………………」
「…アイツの代わりなら…断る」
「ち、ちが…!」


あたしは大慌てで首をふった。
俊輔が玲の代わりなんてあるわけない。
大体ぜんぶが違うから。


さみしいから傍にいてほしい。
そんなんだったけど。
いまは俊輔が欲しい。
誰にもとられたくないの。


自分に自信がないから、俊輔があたしをすきになってくれるなんて思ってない。
それでも、諦めたくない。





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