月のお姫様
「何を言っておる、このすっとこどっこい!レディーをいたわり、気遣うのは紳士の役目ではないのかね?」
どうやらかぐやはこの家に居座りたいらしい
そんなのごめんだ
ここで了承する人はとんだお人よしか、下心満載なやつだけだ
「ごめんねかぐや。君をこの家には置けないよ。」
「――…なぜだ」
明らかに不満げに括、悲しげに垂れた眉毛をもっと垂らしながら問う
「だって僕はこの家に一人で住んでる訳じゃない。母親は他界してるけどお父さんも姉貴もいるんだ。迂闊に決断はできないよ。」
「そうか…誰にも事情はあるものな……」
急に元気が無くなり、ご飯ありがとうと呟いて玄関へと歩いていく。
「さらばださく。世話になった。縁があったらまた会おう。」
かける言葉が見当たらず、うん…と生返事をした。
―…ガチャンとドアが閉まる音が響く
なんだかとっても悪いことをした気分だ