女子高生と詐欺と嘘
5call
歌舞伎町の店にヘルプで入るようになり、俺は二つの仕事場を往き来するようになっていた。
詐欺グループの人からはあまり良い顔はされなかったが、元々誘われて入った新入りだからというのもあって、特に文句を言われることも無かった。

けれど、そんな日々は呆気なく終わりを告げる。

ある日、島田先輩と連絡が取れなくなったのだ。

「あ、あの、島田先輩は?」

「さぁ、知らねーな」

他の人に聞いても答えは同じで。

「お前、ホスト続けてるみてぇだけど、この仕事のこと喋ってねえだろうな?」

「…話せる訳ないじゃないですか」

「ははっ、確かにな」

何かがおかしいと思った。
結城さんも最近慌ただしく出掛ける姿をよく見る。
それにテレビや新聞で詐欺のニュースを目にすることも増えた。

本能が、危険信号を出す。

何かが起きると。


そうして、その日はやってきた。





先輩と連絡が取れないまま、重い足取りでマンションの一室へ向かっていると、人だかりが出来ていて車も数台止まっていた。
オバサンの話し声に耳を澄ませると、衝撃的な単語を耳にしてしまう。

“詐欺グループのアジト”

“逮捕”

“警察”

「!」

咄嗟にマンションを通りすぎてしまう。
今入れば、確実に逮捕される。
動悸が激しくなり、冷や汗が頬を伝った。
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