女子高生と詐欺と嘘
相手が爺さんや婆さんならまだしも、若い女に言うなんて通報されるのがオチだろう。
慌てて電話を切ろうとすると、無言だった彼女が口を開いた。
『…お兄、ちゃん?』
「え?」
『お兄ちゃんでしょ?全然連絡ないと思ったら…。お父さんも心配してるよ?』
「え、あ、ごめん…ちょっと」
声が似ているのだろうか?
予想外の展開に、少しパニックになる。
けれど先輩が戻る気配もなく、電話向こうの彼女に話を合わせるしかなかった。
『お兄ちゃん、何か困ってたりするの?』
「あ、…うん、まぁ」
『…お金?』
「…………」
すんなりと彼女から出た言葉に、何と切り返せば良いのか分からなかった。
彼女に言ったところで、振り込んで貰える筈がない。
となれば親に伝えてもらうとかしなければ。
そう判断して、口を開きかけた時。
『私、持ってってあげても良いよ?』
「え?」
『お父さんに直接言えないでしょ?十万くらいなら引き出しても大丈夫だと思うから』
どれだけ金持ちなんだ、と突っ込みたくなった。
十万くらい?引き出す?
話し方からしてまだ学生のようだが、貯金にしろ大金を管理出来る状態なんて、俺からしてみたら想像出来ない世界だ。
でも、ふと考えて。
持って来てくれるというなら好都合だ。
受け渡しの時は、本人が来れなくなったから友人とでも言ってしまえば良い。
女性相手なら奪って逃げるのも簡単だし。
それに、
この声の彼女を見てみたいという気持ちもある。
「…じゃあ、お願いしても、良いかな?」
『うん』
明るい声で、二つ返事が返ってきた。
それから場所を指定して、俺は電話を切った。
慌てて電話を切ろうとすると、無言だった彼女が口を開いた。
『…お兄、ちゃん?』
「え?」
『お兄ちゃんでしょ?全然連絡ないと思ったら…。お父さんも心配してるよ?』
「え、あ、ごめん…ちょっと」
声が似ているのだろうか?
予想外の展開に、少しパニックになる。
けれど先輩が戻る気配もなく、電話向こうの彼女に話を合わせるしかなかった。
『お兄ちゃん、何か困ってたりするの?』
「あ、…うん、まぁ」
『…お金?』
「…………」
すんなりと彼女から出た言葉に、何と切り返せば良いのか分からなかった。
彼女に言ったところで、振り込んで貰える筈がない。
となれば親に伝えてもらうとかしなければ。
そう判断して、口を開きかけた時。
『私、持ってってあげても良いよ?』
「え?」
『お父さんに直接言えないでしょ?十万くらいなら引き出しても大丈夫だと思うから』
どれだけ金持ちなんだ、と突っ込みたくなった。
十万くらい?引き出す?
話し方からしてまだ学生のようだが、貯金にしろ大金を管理出来る状態なんて、俺からしてみたら想像出来ない世界だ。
でも、ふと考えて。
持って来てくれるというなら好都合だ。
受け渡しの時は、本人が来れなくなったから友人とでも言ってしまえば良い。
女性相手なら奪って逃げるのも簡単だし。
それに、
この声の彼女を見てみたいという気持ちもある。
「…じゃあ、お願いしても、良いかな?」
『うん』
明るい声で、二つ返事が返ってきた。
それから場所を指定して、俺は電話を切った。