死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
陽も沈みかけ、一面がオレンジ色に変わる頃、私はやっと歩ける様になった。


― もう、こんな時間!


水族館の営業が終わる時間だった。


― さて…、帰ろう。


バックを肩に掛け、ゆっくり立ち上がる。

― よし。大丈夫そうだ…



「あの…」
そこに、男性が声を掛けてきた。


「あっ、すいません。今、帰りますから…」
声を掛けられて、慌てた私は急いで歩こうとした。

急に目の前が暗くなる。

目眩が私を襲った。

あっ…。
フラつく私。


「大丈夫ですか?」
フラつく私の体を、男性が支える。


男性のお陰で、私は倒れずに済んだ。


― 助かった…。


「すいません…」

「いえ…。だ、大丈夫ですか?」

「はい…。たまにあるんです。すいません…」
私は、嘘を吐いた。

たまにじゃない。

毎日だ。

酷い時は、数時間毎に目眩が私を襲う。



「大丈夫ですか?」
もう一度男性が言って、心配そうに私の顔を覗く。


「もう、大丈夫です。すいません…」
そう言って、私も男性の顔を見る。



あっ…。





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