死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
私は、彼に支えられたままの体を放し
「すいません。すぐに帰りますから…」
バックを肩に掛け直し、フラつく体で立った。


「いえ…。その…。あ、明日も、ショーをするんで…。その…、2時から。で…、良かったら、き、来て下さい。その…、待ってます!」

「すいません…」
そう彼に言い残し、水族館を後にした。


彼の声が、良く聞こえなかった。


目眩で、それとも緊張でなのか、朦朧とする意識の中で彼の声を聞いていたのだ。

記憶に残っているのは、『2時に、ショーが…』としか覚えていない。


彼の善意で助けてもらったのに、私は彼に冷たい態度をとってしまった。


ホテルに着く間中、私は後悔をしていた。




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