死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
思った以上に、大きく館内に響く私の声。

静かに魚を見ていた人達も、ビックリして私の方を見た。


「あの…」
それでも私は気にせず、もう一度彼に声を掛けた。


行き掛けた彼が立ち止まり、振り向いた。
「はい…?」


「あ…。あの…、き、昨日は…その、ありがとう…」
彼に頭を下げた。


「あー、いえ。じゃぁ」
彼は、また手を上げて足早に行ってしまった。


― 私はいったい…、何を彼に言おうとしたの…


突拍子もない自分の行動に、体の力が抜ける。


そして後から、羞恥心が私を襲ってきた。




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