死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
「ねぇ、待って!」
今度は彼が、私の後ろ姿に声を掛けた。


はい?
彼の方へ振り返る、私。


「あ…。そ、その…。お、俺、もう上がりなんだ…」

「はい…」

「だ、だから、その…。送っていくよ。その、良かったら…だけど」


思ってもみなかった、彼の言葉。
私は、凄く嬉しかった。

「でも…、ご迷惑だから…」
一応、社交辞令を言う。
本当は、大人として言う言葉。
でも私は、彼に迷惑を掛けたくなかったから、自然に出た言葉だった。


「送りたいんだ。だから、そこの前で待ってて!」

「いえ、そんな…」

私の話しを聞かずに、彼が行ってしまう。



ウソの様でホントの話し。

― 人生、上手くいく時は上手くいくんだなぁ。それも、こんなギリギリになってから…。




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