死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
「先生っ…、カエデは…カエデの命は、何とかならないでしょうか…。この娘には、将来があるんです。まだ、若いんです!先生っ」
そう言って、母が医師に詰め寄った。


「お母さん、落ち着いて下さい。お母さん」
看護師が、母をなだめる。

母は、そのまま泣き崩れた。



私は、ただ泣き崩れる母の姿を見つめていた。

本当は私も、泣きたかった。

でも先に、母に泣かれてしまうと…


泣くに泣けないもんだ…

と、たいして強くもない私は、その時思った。






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