死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
フラついたカエデを支えた時、ナオヒロは胸が張り裂けそうになった。

自分の心臓の音が、カエデに聞こえないかとハラハラしていたのだ。


か細い体に触れた時、カエデから仄かな甘い香り。

またカエデに会いたいと、ナオヒロは願った。


― また、会える?
― また、話せる?

そう思ったら
『来て下さい、待ってます』
と、自然にカエデに言っていたのだ。


― また、会いたい。

願っていた次の日。
カエデはちゃんと、水族館に来てくれた。

ナオヒロは物凄く嬉しかった。

高鳴る鼓動を抑えて、遠くからカエデを見ていた。


でもカエデの姿を見ていたら、いてもたってもいられずに、カエデに話し掛けていた、ナオヒロだった。



― こんなに好きなのに、なんでヒデさんは諦めろと言うんだ。


ナオヒロは、不貞腐れた。




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