死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
何これ?
という顔で、ナオヒロは英康を見た。


英康は、しばらくナオヒロを見つめた。


「彼女の忘れ物だ。中を見るのも見ないのも、ナオ、お前次第だ」
真っ直ぐ、ナオヒロを見る英康。


「なんで、彼女のだと…」
封筒には病院名だけで、彼女の名前はなかったからだ。

ナオヒロは、訳が分からなくなった。

すーっと、血の気が引くのが分かる。


「返すのに誰のか分からなかったから、中を確認した。そしたら、松井カエデと中に名前があったから、お前の連れだと思ってな…」


― 松井カエデ…。
間違いなく、彼女の名前だった。

あの時ここで交換したメモに、そう彼女は自分の名前を書いていた。

ナオヒロはその場で、カエデのNo.とアドを登録した。
だから、間違いようもない。

頭がクラクラする、ナオヒロ。

この場には、いたくなかった。


逃げ出したかった。

弱虫だと、言われてもいい。


ナオヒロは、苦しかったのだ。


現実と向き合うことが…




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