死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
普段はあまり気にならない、店内のBGM。

今はやけに、騒々しく聞こえてくる。



ナオヒロは、封筒の中を見る覚悟を決めていた。


しかし、覚悟を決めたものの、握り締めたままの指が動かない。


ナオヒロはその間、何度も落ちそうになる涙を堪えた。


― 泣いたらダメだ。
呪文の様に、自分に言い聞かせる。




「ヒデさん…」

「んん?」

「俺…」
ナオヒロは、英康を見た。




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