死の使い方Ⅱ-W/z 4 U-
松井カエデ。
から始まり、病名・病状がこと細かく書かれていた。


時々、滲んでかすむ涙を拭きながら、ナオヒロは紹介状を読み終えた。



ナオヒロは、もう泣いていなかった。



「ヒデさん?」

「ん?」

「俺、大丈夫だから。頑張るから!」
ナオヒロが立ち上がり、店のドアへと向かった。


「ナオっ?」
英康が、行き掛けたナオヒロを呼んだ。


「はい…?」
振り向く、ナオヒロ。


「俺は、お前の味方だから。誰がなんと言っても、味方だから。お前が決めたことなら、俺はもう反対はしない。頑張ってこいっ!」
英康は笑顔で、ナオヒロを見送った。


「ありがとう…。ヒデさん」

ナオヒロが、店から出ていった。



英康はいつまでも、ナオヒロが出ていったドアを見つめていた。

― 頑張れ、ナオ。俺の分まで、頑張れ。


英康は、堪らず声を出して泣いた。


「頑張れ…ナオ…」




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