桜色


―そんなある日の午後のこと―
「…う゛ぅ……詰まった……」

“受験生”というプレッシャ-からなのか(…どうかは本当のところ全く分からないが)、最近やけに勉強が詰まってしまう。


…こういう時は変に頑張って粘るよりかは気分転換をした方が効果的だと私は思う。
今日は天気も良いことだし、ちょうどいいから布団でも干そうかと窓を開けた時、遠くに人らしき陰を見た。

「…あ…もしや深兄??」
人陰が真っ直ぐこっちに向かって来ているところを見ると、どうやら私の推理は当たりのようだ。
因みに“深兄”というのは私のただ一人の兄・深(シン)のことだ。

深兄は私より5歳年上の20歳で大学生だ。私の住んでいるこの田舎には大学が少ない為、深兄は東京の方の大学へ通っている。



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