九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
「それから目薬の中身も判明しました。
コウサイエンの治療用に使われるサンドウザイだったそうです」
「やっぱり」
彼方は不敵に笑って腕を組んだ。
これで、仮説を説明するに足る証拠は揃ったわけだ。
「九我さん、そろそろ説明していただけませんか。
犯人は誰か、既に解ったんでしょう」
「ええ。
あとは紫波須さんの報告待ちですが……ああ、来ましたね」
彼方の携帯のバイブが鳴りだした。
嬉しそうに彼方は携帯を取り出して言う。
「食堂に集まっていてください。電話を済ませたらすぐに行きますから」
「え?あ、はい…」
十和田の返事を聞くと、彼方はにっこり笑って出ていった。
困惑を隠せない捜査員一同であるが、仕方なく、謎解きが行われるであろう食堂へ向かったのだった。