九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「容器事態は市販の目薬です。

しかし、中身を調べてもらうと、目薬ではなく『散瞳剤』が入っていました。」


「散瞳剤?」

湊が問う。



「目の治療用に用いる、瞳孔を開かせる薬ですよ。

検査なんかにも使われます。

双葉さんは日頃から目が乾燥すると言って頻繁に目薬を使用していました。

寝る前にも目薬をさしていた。

そうですね、五家宝さん」


五家宝は突然ふられた問いに、びっくりした様子ではい、と返事をした。



「この容器に入った散瞳剤は、使用から数十分で効果が出ます。

犯人は、目薬が効きだすタイミングを見計らってプールに彼女を呼び出しました。

ホテル内は暗いために、おそらく違和感はなかったでしょう」



あたりがまた騒ついた。

それで、犯人はどうしたのか。



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