九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
十和田の拘束をほどき、片手に手錠をぶら下げて凛は父に駆け寄った。
「ごめんなさい…」
その手を、しっかり握って。
「ごめんなさい、父さん、ごめんなさい、ごめんなさい……っ!!」
子供っぽく泣きじゃくる。
弱々しい凛の頭を、宍戸は優しく撫でた。
十和田はひっくり返って呆然としていた四井にも手錠をかけた。
「この光景を忘れるな。
――…外道め」
耳元で十和田が力強く囁くと、四井はうなだれ、脱け殻のように床に倒れた。
汚い、情けない涙を流しながら。