九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
「自分、儂をゆする気か!!」
不意に聞こえた怒鳴り声に、彼方も八部も驚いて窓側の席を見る。
湊も気付いているらしい。
「いいだろ別に。
2年前だってそうやって俺の記事買い取ってくれたじゃねぇか。
今回だって…なあ」
ハゲ頭のメタボ気味な男と、中年のワイルドな雰囲気の男とがもめていた。
ハゲ頭メタボの隣には、双葉南の姿も伺える。
中年の隣にはさも威厳のある髭で口元を覆った男もいて、その4人でテーブルを囲んでいた。
「先生、落ち着いてください、ほら声が大きいですわ」
双葉がおろおろしながらハゲ頭メタボを宥めていた。
そこに、20代くらいの若い美人も加わった。
美人はハゲ(以下略)に白いカップを差し出した。
「先生、ハーブティーです。
落ち着きますよ」
「ああ、うん、ありがとうゴカホウくん」
ハゲは苛立たしげにハーブティーを口に運んだ。
当然熱いためにその身体がビクリと揺れる。