九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「自分、儂をゆする気か!!」


不意に聞こえた怒鳴り声に、彼方も八部も驚いて窓側の席を見る。

湊も気付いているらしい。


「いいだろ別に。
2年前だってそうやって俺の記事買い取ってくれたじゃねぇか。

今回だって…なあ」



ハゲ頭のメタボ気味な男と、中年のワイルドな雰囲気の男とがもめていた。

ハゲ頭メタボの隣には、双葉南の姿も伺える。


中年の隣にはさも威厳のある髭で口元を覆った男もいて、その4人でテーブルを囲んでいた。



「先生、落ち着いてください、ほら声が大きいですわ」


双葉がおろおろしながらハゲ頭メタボを宥めていた。

そこに、20代くらいの若い美人も加わった。

美人はハゲ(以下略)に白いカップを差し出した。



「先生、ハーブティーです。
落ち着きますよ」


「ああ、うん、ありがとうゴカホウくん」


ハゲは苛立たしげにハーブティーを口に運んだ。

当然熱いためにその身体がビクリと揺れる。



< 17 / 132 >

この作品をシェア

pagetop