九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
ハゲのイントネーションからして関西の人間だろう、口調がやけに迫力がある。
ハーブティーのカップを乱暴にテーブルに叩きつけると、ハゲは中年に詰め寄った。
「だいたい2年前の記事はアンタがでっちあげたまがいもんやったろがい!
マスコミに流れて面倒になるのが嫌やったから買い取ったまでや!」
「じゃあ今回もお願いしますよ。捏造証拠の一つや二つくらい買い取れるでしょ?先生」
「じゃかあしい!
どこぞのガキンチョにやる札束なんぞあらへんねん!」
「じゃあいいですよ、俺はこの記事を出版社に送るだけ。
捏造としてもアンタを信用する人が果たしてどこまでいるものか…見物だねぇ先生」
「………くっ」