九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
双葉:食堂にて
五家宝によると、先ほどのハゲは一条 晴臣(イチジョウ ハルオミ)58歳、大学教授。
四井とは同期生、双葉は彼の後輩で、五家宝凛はその教え子だという。
すっかり外が暗くなった時間帯、九我兄妹と八部、五家宝の4人は食堂でトランプに興じている。
五家宝が手札のカードを二枚捨てた。
「さっきの人は三枝 満(サエグサ ミツル)さんという方で、フリーのライターをしていると仰っていました」
「ライター?
ずいぶん柄が悪かったですね」
「はい…。
今日は、四井先生と双葉先生も誘って伊豆に休暇に行こうと一条先生が仰ったのですが」
二枚引いて、役をつくれたのかわずかに唇が歪んだ。