九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
三枝と鉢合わせたのはあくまで偶然らしいが、一条は「つけてきたんだ!」と言い張るらしい。
最近どこにでも現れて、まるでストーカーもしくは借金取り立て屋さんかのよう。
そりゃーつけてきたんだろうと誰しも納得する。
「三枝満の狙いはなんです?」
「写真です、なにかの。
私には見せてもらえませんでしたが、先生たちはみんな写真を見ると青ざめてしまって…」
「よほど都合の悪い写真なんでしょうね」
淡々と相槌を打つ彼方は、女ったらしというよりは刑事の顔。
いや、まだ若いから、お節介な探偵とも取れる。
不本意にも湊はそんな兄に感心を寄せていた。
「あ、コール」
ん、と3人の視線が彼方の手札に向いた。
「フルハウスー」
「だーっ、またやられたぁ!」
この世の終わりのごとく八部が頭を抱えた。
「九我さん、ポーカー強いんですね」
「凛さん気を付けてくださいよ、きっと八割イカサマですから」
「うるさい湊」