九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
「今日は一条先生がいらしているからね、気合いを入れて腕を振るったつもりだよ」
ガッハッハッハ、と豪快な笑い声が続く。
「じゃあ一条先生なんですね、ホテル建設に資金援助したっていう…」
「そうだよ。
俺とオーナーの宍戸 永楽(シシドエイラク)が以前働いていたホテルが潰れて以来ね。
一条先生にはずいぶん世話になったよ」
遠くを眺めるような目をして七瀬幸三が語る。
組まれた太い腕はやはり黒い毛が似合いそうだが、やはりツルツルだし意外にも色白であった。
「此処のホテルはいつオープンしたんでしょう」
彼方が尋ねる。
「2年前さ。
絶景が見える絶品が食えるより良いホテルを目指して修行中さね、ハッハッハ」
「へぇ…」