九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
「九我ぁぁっ!
九我――…っ!」
「えっ、なに!」
ドンドンと突然にドアを叩く音がした。
その向こうで九我を呼ぶのは、確かに八部大翔の声である。
「……どうした、や―…うおっ!」
ドアを開けた彼方に八部はすがりつくように肩を掴んだ。
「大変なんだ、たっ、ふ、ふたっ……死んでっ……!!」
『死んで』のキーワードに引っ掛かったらしく、彼方は湊に水を持って来いという。
「落ち着け八部、どうした」
コップの水を一気に飲み干し、乱れ切った息を無理矢理に整えて八部は再度訴えなおした。