九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



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「四井さんの証言からして、双葉さんが殺害されたのは午前2時頃でしょうね。

一緒にいたのは犯人の可能性が高い」



ペン回しを披露しながら、彼方は全員の行動パターンをメモした紙を凝視している。


「九我刑事と妹さん、八部大翔と五家宝凛はアリバイ成立でしょうな。

2時まで4人一緒にいたのだから」


「自分たちが共犯でない、または二つの殺人が同一犯であるとみなすのならば。」


「双葉さんはハッキリしませんが容疑者は、三枝、四井、宍戸、七瀬の4人でしょうか」


「そのうち最もアヤシイのは三枝ですよね!動機もあるし!」


辻は新人刑事にありがちな先走った推測をする。

得意気に語るが、安易に他ならない。



「動機なら五家宝さんと宍戸さんにもあるようですよ」


仏頂面を決め込んだ彼方はさらりと言った。



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