九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「五家宝凛は、一条が書いた大学の論文のゴーストライターという噂もあります。

三枝が語る愛人説もあります。

動機にはなりえるでしょうね。



宍戸さんは、以前経営していたホテルを一条さんに潰された…とかなんとか。

ただ、一条さんはこのホテルの建設の資金援助を行っていたようですから、真意は読めませんが」



十和田は淡々と語る彼方の口調に眉をひそめた。


「いつ聞いたんです」


「妹から。
食堂で待機している時に、宍戸さんと三枝さんがそう言い争っていたらしいですよ。

仲介に入った五家宝さんも巻き込まれたと。

妹が教えてくれました」



「はぁ………」



なんて手際のよい…。


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