九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】
ボストンバックを探る。
着替えが入ってそうな場所は避けたり、いろいろ女性モノが入っていたりしたところは全力で避けた。
ふと、ボストンバックのサイドポケットに液体が入ったプラスチックの入れ物を発見する。
「なんですか、それ」
辻が背後から覗き込んだ。
「目薬ですね」
「目薬?」
「………」
彼方は容器の中の目薬をじっと見つめた。
「――…もし」
「もし?」
彼方は容器を転がしながら中身の液体を観察する。
「もし、この中身が、サンドウザイだったら……」
「サンドウザイ?」
はてなを浮かべる辻。
そんな彼はお構いなしに、彼方は鑑識タカさんに声をかけた。
「すみません!
この目薬の中身、調べてもらえませんか?」
「えっ?
ああ、はい。」
タカさんは目薬を受け取り、困惑した表情のままに双葉の部屋から出ていった。