九我刑事の事件ノート【殺意のホテル】



「もうすぐ八部が戻ってくる。

念のために過ぎないが、しばらくあいつの傍にいろ。

いいな」


「……なんで」


「あくまで念のためだ。
捜査が終わるまで八部から離れるなよ」


「……兄さんの管轄じゃないくせに」



ムッとした声色の湊は唇を僅かに尖らせている。

吹き出しそうになるのを抑えて、彼方は湊から離れた。



向かった先は、五家宝凛である。



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