オフィスラブ〜‘えす’課長の秘密〜
□Secret
今日もまた。
飯田コーポレーション営業部に通称Sこと佐渡課長の怒鳴り声が響く。
「俺が帰ってくるまでにしろ」
「そんな…」
千田さんが涙目になりながら佐渡課長から書類の束を受け取る。
「分かったな!」
「は、い」
あの書類の量から考えるとベテランの人でも丸一日はかかるかな。
この春入社したばかりの千田さんにはとても無謀なのは丸わかり。
「じゃ、行ってくる」
それなのに課長が帰ってくるまでに仕上げろなんて、絶対、私でも無理に決まってる。
「千田さーん」
「先輩…ッ」
「皆、手伝うよ」
私も、と足手まとい承知でこくこくと頷く。