オフィスラブ〜‘えす’課長の秘密〜
「何で、つぐみだけ〜?」
「本当に珍しいね〜。戸村さんだけが定時上がりって」
パソコンを叩きながら香織は私を羨ましいそうに見つめてきて。
他の先輩達もそう言って頷いている。
そう。
何故か今日は私だけが定時で上がれる。
「ごめんなさい」
何だか申し訳なくなって頭を下げる。
やっぱり、私だけって…
「つぐみは用事あるんでしょ?だったら、早く行った方がいいよ」
「そうだよ、戸村さん!ここに居たらSに残れって言われるかもよ」
それは、まずい!
「すみません。じゃあ、お先に失礼します」
と、いそいそと私はオフィスを飛び出しエレベーターに乗り込んだ。